香川県といえば、讃岐うどんに瀬戸大橋、そして金刀比羅宮が有名です。
ですが、県内のみどころはそのほかにもたくさん。人気のビーチや絶景スポット、知的好奇心を満たしてくれる施設など列車に乗って、県北西部の旅に出かけませんか。
海と島の絶景が待つ荘内半島の紫雲出山へ
香川県は47都道府県の中で最も面積が小さい県ですが、知れば知るほど魅了される、奥深い地域でもあります。今回の旅では、JR予讃線(よさんせん)沿線を中心に、土讃線(どさんせん)にも寄り道して、香川県北西部を訪ねました。予讃線は香川県の高松駅から愛媛県の松山駅を経て宇和島駅までを結ぶ全長297kmの路線ですが、都会ほど運行本数が多くないため、駆け足の旅には向きません。沿線には夏休みの絵日記に描きたくなるような素敵な風景が点在していますので、じっくり、のんびり、がおすすめです。例えば、荘内半島にある紫雲出山は、瀬戸内海に浮かぶ島々が一望できる絶景スポットです。桜の名所でもあり、海外からも多くの人が訪れています。しかもこの地は、「浦島太郎」の舞台といわれており、玉手箱を開けたときの白煙が紫の雲となって山にたなびいたことが、山の名の由来なのだとか。浦島太郎の情景を、目の前に広がる穏やかな海と島の中に空想すれば、美しい神話のように思えてきます。
紫雲出山 (しうでやま)
山頂駐車場までは、レンタカーなど車でのアクセスが便利。
健脚者なら「四国のみち」の登山も可能。
登山口まではJR詫間駅から三豊市コミュニティバスで「大浜」下車。山頂まで約1時間
0875-56-5880(三豊市観光交流局)
香川県三豊市詫間町大浜乙451(紫雲出山遺跡館)
※桜シーズンは交通規制あり
見学自由
水族館で童心にかえり、朝から賑わううどん店へ
この日訪ねたのは、宇多津町沿岸にある四国水族館です。屋外エリアやカフェからは瀬戸大橋も見渡せ、開放感たっぷり。イルカプールでは1日3回プログラムがあり、海を背景にマダライルカたちが元気いっぱいにジャンプを見せてくれます。
一方、館内には瀬戸内海、太平洋の四国をとりまく海の情景、そして湖畔や清流、溜池などの水辺が再現されており、四国の豊かな生態系を伝えています。特に鳴門の渦潮を再現した「渦潮の景」はSNSでも大人気。
激しい流れの中を泳ぐマダイやイサキに、上部から陽が差し込む美しい水槽です。さらにコツメカワウソがいる「淡水ゾーン」、アシカ、ペンギン、アザラシのスター軍団が勢揃いする「水遊ゾーン」も見逃せません。生きものたちをひたすら眺め、その美しさに癒される贅沢な時間を過ごしました。
さて、香川に来たからには、うどんを食べないわけにはいきません。翌朝、麺処 綿谷 丸亀店に行くと、「朝うどん」を楽しむ人々で賑わっていました。綿谷は牛肉ぶっかけが有名で、お店の方によると、牛・豚合わせた肉の消費量は年間50tに達するとのこと。その人気ぶりがうかがえます。麺はほどよい硬さで、いりこ、昆布、地元の醤油を使っただしとよく馴染みます。つるっと一気にいただき、大満足の「朝うどん」を体験しました。
四国水族館(しこくすいぞくかん)
0877-49-4590
香川県綾歌郡宇多津町浜一番丁4
9:00~18:00(7月22日~8月10日、8月16日~27日は~19:30、8月11日~15日は~21:00※最終入館はいずれも閉館の30分前)
不定休
大人2,400円
麺処 綿谷 丸亀店(めんどころ わたや まるがめてん)
0877-21-1955
香川県丸亀市北平山町2-6-18
8:30~14:00(売り切れ次第終了)
日曜、祝日
瀬戸大橋
JR予讃線の列車
「こんぴらさん」に詣り
邦坊氏のアートにふれる
多度津駅(たどつ)で、高知へ向かう土讃線に乗り換えて琴平町へ。この町にある金刀比羅宮は、神代に創建されたと伝わる歴史ある神社で、「こんぴらさん」の愛称と785段もの長い階段が有名です。
みやげ物店やうどん店などが並ぶ表参道を進むと、113段目から「大門」までが「一之坂」。足元から目が離せない急な階段が続きます。重厚な「大門」をくぐると、そこから先は神域となり、桜の木が並ぶ厳かな空間に一変します。ゆるやかな道と階段が交互に続きますが、神馬のいる桜馬場(さくらのばば)や旭社などを撮影しつつ、進みましょう。
御本宮まで上ると、周辺の町並みと「讃岐富士」とよばれる飯野山が一望できます。息を整えてからお詣りを。金刀比羅宮の御祭神は大物主神(おおものぬしかみ)と崇徳天皇(すとくてんのう)で、ご利益は農業、殖産、医薬、海上守護など実に広範です。長い階段があるにもかかわらず、多くの人が杖をつきつつお詣りするのは、あらゆる願いを聞いてくださるおおらかな神様だからかもしれません。
金刀比羅宮からひと足延ばして出かけたいのが、灸まん美術館です。琴平町出身の昭和のクリエイター、和田邦坊(わだくにぼう)氏の作品が展示されています。
邦坊氏は時事漫画家、小説家、商業プロデューサー、デザイナー、画家としても活躍し、香川県内の名産品の包装紙やパッケージ、商品プロデュースも手がけました。現代ならマルチクリエイター、地域プロデューサーとよばれたかもしれません。ちなみに美術館名の「灸まん」は、こんぴらさん名物の、お灸の形をした饅頭ですが、こちらも邦坊氏のプロデュースです。館内を見学すると、棟方志功(むなかたしこう)氏やイサム・ノグチ氏らにも絶賛された和田邦坊氏の、ほとばしるセンスと香川愛が感じられます。
金刀比羅宮(ことひらぐう)
0877-75-2121(8:30~17:00)
香川県仲多度郡琴平町892-1
大門(境内入口)6:00~18:00、御本宮 御扉7:00~17:00、御祈祷・授与所9:00~17:00(御祈祷の受付は~16:30)、厳魂神社(奥社)御扉・御祈祷・授与所9:00~16:30(御祈祷は予約制)
無休
灸まん美術館(きゅうまんびじゅつかん)
0877-75-3000
香川県善通寺市大麻町338
9:00~17:00(最終入館、カフェのLOは16:30)
火・水曜、その他展示替え期間
無料(和田邦坊画業館は一般500円)