源泉の数、湧出量ともに日本一を誇る大分県は、実はおいしいものの宝庫でもあります。
あでやかな紅葉に彩られた耶馬渓の里山や渓谷を眺めながら、黒田官兵衛、福澤諭吉のゆかりの地でもある中津市、江戸時代の街並みを残す日田市を訪ねました。
写真提供:中津耶馬渓観光協会
日本遺産の耶馬渓で心ふるえる情景と出合う
大分県中津市は海に面する城下町。豊臣秀吉の軍師として名をはせた黒田官兵衛が築いた中津城があり、その近くには、中津藩の下級武士の父を持つ福澤諭吉の旧宅跡や旧居があります。また、杉田玄白らと『解体新書』出版のために『ターヘルアナトミア』の翻訳を行った前野良沢(まえのりょうたく)も中津藩の藩医でした。こうした偉人たちの足跡をたどる歴史散策は、中津の楽しみ方のひとつです。 そして中津市郊外には、奇岩と渓流がおりなす景勝地、耶馬渓(やばけい)が広がっています。2017年には本耶馬渓、深耶馬溪、奥耶馬溪などからなる広大なエリアが「やばけい遊覧」として文化庁の日本遺産に認定されました。特に秋の美しさは格別で、息をのむような紅葉の情景があちこちに広がります。写真の「御霊もみじ」は、里山の麓に立つごく小さな神社「御霊神社」の風景ですが、苔むした石段をもみじの木々が覆い、見渡す限り赤、黄、オレンジの極彩色が広がる、感動の風景と出合えます。
御霊もみじ(御霊神社)
(ごりょうもみじ(ごりょうじんじゃ))
紅葉の見頃は場所により異なるが11月上~下旬。
中津耶馬渓観光協会のホームページなどで確認を
0979-23-4511(中津耶馬渓観光協会)
大分県中津市耶馬溪町戸原2176
絶景の温泉と地元グルメを満喫
ドライブの道中に「道の駅なかつ」に立ち寄りました。直売所には中津のみやげ、農畜産物や近海の魚介類などが並んでおり、レストランでは、のどかな田園風景と八面山を眺めながらゆっくりと食事が楽しめます。中津産の食材を使ったメニューは、思わず目移りするほどの充実ぶり。敷地内には、縄文時代と古墳時代の遺跡がある公園もあり、休憩に最適です。ここから一望できる八面山(はちめんざん)は、かつては修験道が盛んで巨岩を信仰対象としていたとのこと。そんな山の雰囲気を味わえるのが八面山金色温泉館です。巨岩を配した大浴場や自然の地形を活かした露天風呂、寝湯などがあり、鳥の声や木漏れ日の中で日帰り入浴が楽しめます。レストランや宿もあるので、紅葉の中で非日常の時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
道の駅なかつ(みちのえきなかつ)
0979-64-8830
大分県中津市加来814
情報休憩室9:30~18:15、直売所9:00~19:00(11~2月は~18:00)、レストラン10:00~17:00(土・日曜、祝日は~18:00)
無休
八面山金色温泉館(はちめんざんかないろおんせんかん)
0979-26-8065
大分県中津市三光田口金色584-1
10:00~22:00
無休
大人700円、貸切家族風呂2,500円
(平日60分、土・日曜、祝日は45分)
中津は「食」も魅力的です。
中津が面する遠浅の海「豊前海(ぶぜんかい)」は魚介類の宝庫。ここで育つ鱧はサイズが大きく、骨が特別軟らかいといいます。早速、活魚料理の店「和風味処鬼太郎」を訪ねると、メニューには鱧しゅうまい、鱧かつ卵とじなど、バラエティに富んだ料理が並び、期待が高まります。鱧しゃぶのように繊細な味わいと弾力を楽しむもの、鱧かつ卵とじのように、甘辛い味でいただくものもあり、鱧のおいしさを再発見できます。 そして、中津は「からあげの聖地」でもあります。「からあげグランプリ」の最高金賞常連でもある「げんきや」は、ムネ肉のおいしさを引き出すことにこだわった元祖の店。部位ごとに仕込みを変え、中津産の醤油をベースにした秘伝のタレに長時間漬け込むなど、どこまでも丁寧に作られるからあげは、ジューシーで肉の弾力がしっかりと感じられるだけでなく、「冷めてもおいしい」と評判です。
和風味処鬼太郎(わふうあじどころきたろう)
0979-22-0304
大分県中津市豊田町2-16
11:00~14:00、17:00~22:00(21:00LO)(日曜は~21:00、20:30 LO)
月曜
からあげ専門店 げんきや(舷喜屋)総本店
(からあげせんもんてん げんきや(げんきや)そうほんてん)
0979-24-1933
大分県中津市金手35-2
11:00~21:00
無休