ALSOK TRIP vol.23

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富士山信仰と機織りの街古くて新しい「富士みち」をゆく 美しく、懐かしい、秋の大分
Photos:Kentaro Oshio

三方を海に囲まれる山口県には、日本海と瀬戸内海の恵みがもたらした豊かな歴史と文化があります。絶景、史跡、グルメ・・・夏の山口の魅力をぎゅっと詰め込みました。

山口県訪問MAP
長門エリア訪問MAP

角島

コバルトブルーの海に映える全長1780mの「角島大橋(つのしまおおはし)」。車で走っていると、滑走路から青空に飛び立つ飛行機に乗っているかのようです。その先にあるのが「角島」。周囲約17km、人口約700人の島に、絶景を求めて多くの旅行者が訪れます。 橋の本土側、すぐ近くにあるのが地元の人気店「角島ジェラートPOPORO」です。店内には色とりどりのジェラートが並び、目と舌を楽しませてくれます。 「地産地消でフレッシュな味を届けたくて。ジェラートを通して少しでも地域の風を感じてもらえたら」と、専務の秋枝俊充さん。山口県の「美味しいもの」を使ったジェラートは、オリジナリティあふれる品揃えです。地元産の青のり、柚子味噌、刺身醤油などユニークな素材から生まれたフレーバーは、驚きと新発見の連続でした。

角島大橋
下関市豊北町沖に浮かぶ角島と本土を結ぶ全長1780mの橋。橋の両側にはコバルトブルーの海が広がり、絶景ドライブの聖地になっている。
角島ジェラートPOPORO

秋田県の牧場から直送された風味豊かな低温殺菌ジャージー牛乳に山口県の美味しいものを合わせ、心と体に優しいジェラートを製造・販売する。

083-786-0051

住所
下関市豊北町大字神田3873
営業時間
10:00~18:00(10~3月は~17:00)
定休日
木曜
※詳細はHPをご参照ください。
https://g-poporo.com/
垢田(あかだ)トマトソルベ(左)と角島キャラメル醤油(右)。シングルカップ(520 円~)にペンギンクッキー(100 円)をトッピング。
角島ジェラートPOPOROで地域の風を感じる

香山町

さらに、山口市の瑠璃光寺へと足を延ばしました。有名な五重塔は、檜皮葺(ひわだぶき)の屋根の緩やかなカーブの美しさから、日本三名塔と称され、国宝に指定されています。その五重塔と縁深いのが、大内氏。大陸と貿易を行い、その富で山口に「西の京」と称される文化の花を咲かせました。現在、五重塔は大改修中のため、普段は塔内に安置されている秘仏が特別公開されています。秘仏を目の前にすると、底知れぬ存在感に圧倒されました。 「国宝とは『国の宝』。一人ひとりの力で守り続けていければ」 笑顔でそう語る、住職の渡邉博志さんの言葉が印象的でした。

瑠璃光寺

曹洞宗の寺院。国宝の五重塔は奈良の法隆寺、京都の醍醐寺とともに日本三名塔と並び称される。現在、70年ぶりの令和の大改修で檜皮葺屋根の全面葺き替え工事中(2023年4月~2026年3月予定)。

083-924-9139

住所
山口市香山町7-1
開館時間
9:00~17:00
料金
境内自由、資料館は200円
※詳細はHPをご参照ください。
https://inforurikoji.wixsite.com/rurikoji
屋根に使用されるヒノキの皮。
通常は五重塔内に納められている仏像が、葺き替え工事のために特別展示されている(左)。境内には五重塔を建立した大内盛見の父・大内弘世の像もある(右)。

油谷

もうひとつの絶景ポイント、「元乃隅神社(もとのすみ)」に向かいます。 123基もの真っ赤な鳥居が100m以上にわたって並ぶ姿は圧巻でした。遮るもののない風の中を、飛ばされないように踏ん張りながら鳥居をくぐり抜けていくと、体中を潮風に洗われたような気持ちになりました。
売店にも足を運んでみました。海藻類や野菜・米など、地元の生産者の方々の商品に混じって、真っ赤な「トリィネコ」のキャラクターグッズがひときわ目を引きます。 油谷といえば、油谷湾という東西に11km、南北に5kmの細長い形の湾があります。ほぼ一年中、波が穏やかで、海面はまるで美しい湖を思わせます。
そんな油谷湾の絶景を望めるホテルが「油谷湾温泉ホテル楊貴館」。若き三代目・岡藤明史さんが取り仕切っています。ホテルの自慢のひとつは、山口の地酒が愉しめる日本酒BAR「海と月」。その名のとおり、海と月を眺めながら銘酒に酔いしれたいものです。さらに、ここから西に向かって1km、今年6月にグランドオープンした「油谷湾リゾートAMANA」を訪ねてみました。目の前に海を望む、全7棟のリゾート型宿泊施設です。 「気ままにカヤックをしたり、釣りをしたり。別荘感覚で過ごしていただきたいですね」と岡藤さん。宿泊施設から地域の魅力を発信したいという意気込みを感じました。

元乃隅神社

1955年、津黄漁港(つおうぎょこう)の網元・岡村斉(おかむらひとし)の枕元に現れた白狐のお告げにより建立された。100m以上におよぶ123基の鳥居は、1987年から10年かけて奉納されたもの。商売繁盛、大漁、海上安全をはじめ、良縁、子宝、開運厄除、交通安全、学業成就など多くのご利益を授ける大神として深く信仰されてきた。

住所
長門市油谷津黄498
参拝時間
7:00~16:30
※詳細はHPをご参照ください。
https://www.motonosumi.com/
絶景スポット!元乃隅神社を訪ねる
元乃隅売店

「元乃隅神社」第1駐車場に面した売店。地元の海藻類や野菜・米などを多数取り揃える。お守りぬいぐるみ「トリィネコ」のグッズもキモカワイイ。イカ釣り漁業が盛んな津黄地区住民による運営。

0837-33-1011

住所
長門市油谷津黄1079-1
営業時間
9:00~17:00
定休日
なし
地場産の新鮮な食材が手に入る
「トリィネコ」グッズも目を引く。
油谷湾温泉ホテル楊貴館
大浴場から望む油谷湾の絶景。

油谷湾を望む絶好のロケーションに建つホテル。全39室。油谷湾を一望できる温泉のほか、こだわりの料理を提供する「和風レストランあまのゆ」、山口の地酒が愉しめる日本酒BAR「海と月」も自慢。

0837-32-1234(代表)、0837-33-3333(予約)

住所
長門市油谷伊上10130番地
※詳細はHPをご参照ください。
https://www.hotelyokikan.jp/
ロビーからも美しい海を眺められる。
6月1日オープンの「油谷湾リゾートAMANA」。全7棟。海に近い1階建てタイプと、サウナ付きの2階建てタイプがある。アクティビティ、BBQ、サウナなどを楽しみながら、別荘感覚で過ごせる。

次は少し足を延ばして、萩へ。幕末から明治維新にかけて多くの優秀な人材を生み出した萩藩の背景には、「萩藩校明倫館」の存在があります。のちに移転拡充した約5万㎡の敷地内には、学舎、修練場などがあり、かの吉田松陰も教鞭を執ったといいます。その跡地に建ち、近年まで明倫小学校として使われていた校舎は萩の観光起点「萩・明倫学舎」としてリノベーションされました。藩校の貴重な遺構と、最大級の木造校舎を見学し、激動の歴史に思いを馳せました。

萩・明倫学舎

前身の萩藩校明倫館は5代藩主毛利吉元が藩士の教育のために開校した藩校。のちに、13代毛利敬親(もうりたかちか)が現在の地に移転拡充。高杉晋作など多くの優秀な藩士を輩出した。近年まで旧明倫小学校校舎として使用されていたが、現在はリノベーションされ、萩の観光起点として活用されている。

0838-21-0304

住所
萩市江向602番地
開館時間
(本館・2号館):9:00~17:00
休館日
2月第1火曜日及びその翌日
観覧料
本館無料、2号館一般300円
※詳細はHPをご参照ください。
https://www.city.hagi.lg.jp/site/meiringakusha/
小学校時代の教室などを残しながら、明倫学舎と萩の歴史を展示しているほか、レストランやショップなどもある。

長門

長門市(ながとし)の北の日本海に浮かぶ「青海島(おおみじま)」。青海大橋で仙崎市街とつながる周囲約40kmの島には、日本海の荒波に浸食された奇岩や洞門が山のようにそびえ、「海上アルプス」とも呼ばれています。
 その景色を海から堪能できる「青海島観光汽船」。この日は、大島コースに乗船しました。仏の顔に見える仏岩、奇岩が連なる松島、無人島の大島など、船上からダイナミックな自然を眺められます。運が良ければ、イルカの群れに遭遇することもあるそうです。
 古式捕鯨の歴史や文化を伝える「くじら資料館」も訪ねてみました。「この地では、捕らえた鯨には戒名を付け供養をするなど、鯨への憐れみや感謝の気持ちを示す独自の精神文化が育まれました」と、館長の山田功平さん。資料館に程近い「青海島鯨墓」では、命と向き合ってきた漁民たちの心を感じました。
「幻の童謡詩人」といわれた金子みすゞは仙崎生まれ。「金子みすゞ記念館」には実家の書店「金子文英堂」が再現されています。本館ではみすゞの作品と生涯が紹介され、命の尊さを歌う彼女の詩が、この地の文化と重なった気がしました。
 仙崎の隣、三隅地区も偉人を排出しています。吉田松陰が師と仰ぐ、村田清風です。
「人材育成に力を注ぎ、海防問題にも深い関心を示した清風は、幕末長州藩の真の先駆者といえます」と、村田清風記念館館長の金子宏道さん。清風は、海を詠んだ数々の詩も残しました。記念館の2階の窓から、清風の愛した故郷の海が青く輝いていました。

青海島観光汽船
基本のコースの他、「観音洞コース」(約1時間)、「赤瀬コース」(約50分)、「花津浦・紫津浦コース」(約50分)、「大島コース」(約1時間)がある。船の揺れが苦手な人でも楽しめるコースも。

青海島の奇勝を海から探訪する観光船。波に浸食されてできた雄大な景観を間近に見ることができる。基本の1周コースは所要約1時間20分で、4つの狭い洞門を通過するスリリングな体験ができる。

0837-26-0834

住所
長門市仙崎字漁港南4297-2
営業時間
8:00~17:00(12~3月は9:00~16:00)
定休日
なし(荒天欠航あり)
※詳細はHPをご参照ください。
https://www.omijimakankoukisen.jp
奇勝「青海島」を海から探訪!
長門市くじら資料館

江戸初期から明治時代まで、青海島の通(かよい)で盛んに行われた古式捕鯨の歴史を紹介する資料館。

0837-28-0756

住所
長門市通671番地17
営業時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
火曜(祝日の場合は翌日)
入館料
一般200円(小中高校生100円)
※詳細はHPをご参照ください。
https://kujira-nagato.com/
青海島鯨墓
史料館外観
展示品の一部。古式捕鯨の道具や漁民の装束などが展示されている。
金子みすゞ記念館

金子みすゞの実家跡に「金子文英堂」を再現。当時のみすゞの生活をうかがえるほか、作品と生涯について残された貴重な資料を展示し、みすゞの世界の魅力を紹介する。

0837-26-5155

住所
長門市仙崎1308番地
営業時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
なし(年末年始は開館時間の変更あり)
入館料
一般500円(小中高校生200円)
※詳細はHPをご参照ください。
https://www.city.nagato.yamaguchi.jp/site/misuzu
みすゞの部屋を再現した展示もあり、当時のみすゞの生活を感じることができる。
金子みすゞ記念館外観。明治時代の建築を忠実に再現している。
みすゞの心あたたまる詩を木札に刻んだ「詩札」。好きな詩を選んで詩札を作る「詩札づくり体験」ができる(要予約)
村田清風記念館

村田清風と、清風の意志を継ぎ幕末の藩政を支えた周布政之助の功績を紹介する記念館。村田清風は江戸後期、藩政改革の中心人物として手腕を揮い、明治維新の基礎を築いた。

長州藩の伝統的な主要産業であった「生ろう」(蠟燭の原料)の製造風景を再現したコーナー。

0837-43-2818

住所
長門市三隅下2510-1
開館時間
9:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日
火曜(祝日の場合は翌日)
観覧料
一般200円(小中高校生100円)
※詳細はHPをご参照ください。
https://murataseihuu.com
村田清風記念館の外観。

ALSOK TRIP vol.23

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